私はストックイラストを何年か続けておりますが、会社員としてデザイナーもしております。
つまりはストックイラストを売る側と買う側の両方をやっております。
なのでデザイナーとしてストックイラスト素材を使うにあたって、いろいろ思うところはあります。
自分で書いていて耳の痛いところもありますが、その思いはストックイラストを描く側には参考になると思うので記事にしてみたいと思います。
»アドビソフトは学ぶと安くなる(Illustrator・photoshopなど)
何にでも使えるとうれしい
気に入ってるのに使えないイラスト
●よけいなものが入っている
このイラスト気に入ったからダウンロードしようかな・・・
「タッチはいい感じのお酒のイラストなのにラベルに大吟醸と書いてあるから使えないやん、文字だけ外しにくい感じのイラストだし」
「北海道の名産品特集に使いたいのに富士山のイラストがあって使えないやん」
「このハンバーグ定食、付け合せにアスパラが描いてあるけど、アスパラはいらないし取るとバランス崩れそう、他を探そう」
そんなことがあってダウンロードを見送ることがあります。
→コツとしては
例えば瓶のラベルに文字を入れて銘柄を特定すると他のものには使えないことがあります。
でもラベル無しというわけにはいかない。
なので遠くで見てなんとなく字が書いてありお酒のラベルだと思わせるようにイラストを描く、
でも特定の文字としては読めないように描くと売れやすくなります。
下のワインのイラストですが
ラベルの部分は文字っぽいけど特定の文字じゃないという書き方をしています。
この場合「Wain」と書いてしまうのもありですが
「Beaujolais nouveau」だとボジョレー・ヌーヴォー以外のワインには使えません。
ただ、なんとなく文字が不自然で変なイラストになってしまっては選んでもらえないので、うま〜くごまかして描く、
ぼかしたり、文字っぽくごちゃごちゃとした線を入れたり、それはそれぞれのタッチにより工夫が必要です。
その他、〇〇があるために使えなくなりそうなものは、そもそも描かないか、〇〇を外したものと両方描くという対処ができます。
あと文字でも、イラストのパーツでも外して使えるようにしておくと
使う方は大変ありがたいです。
●思ったものがない(形・色・種類)
「このおにぎりタッチはかわいいけど三角じゃくて俵型がいるんだよな〜」などということもあります。
ただ種類があるものなら種類を網羅して横展開すると「ぴったりなイラストがあった、これに決定」
という場合もあります。
→コツとしては
おにぎりなら三角も俵型も描く、海苔の巻き方もありがちな何種類かを描く
ということで選んでもらいやすくなります。
ただ費用対効果は考えなければなりません。網羅するのにとてつもなく時間がかかるならやめたほうが良いでしょう。
一つ描くのに何分とか決めておくのも良いと思います。
とはいえ最近のストックイラストは種類の多いものでも網羅されていたりします。
力技で大変ではありますが「こんなものまであるの〜」というほど横展開するのも一つの方法です。
すぐ使える
手直しいらずだと嬉しい
デザイナーだから色は変えれるでしょ。ここは変更できるでしょ。
これはその通りです。
でも、そのまま使えると嬉しいんです。
デザイナーは時間がない場合が多いからです。
とくに会社員で商業デザインをしていると納期もそうですが制作時間まで決められたりします。
しかも多くの仕事を同時並行で走らせ、しょっちゅう連絡が入って対応や事務作業の中、合間を縫ってデザインをしています。
なので、
ここに2箇所曲がった矢印入れたい、作ればいいけどめんどうだし時間がもったいない。
「無料ダウンロードを使おう」ということにもなります。
なので、
①そのまま使える
⇒デザイナー「最高!ダウンロードしよう」
②色を変えれば使える。
⇒デザイナー「たいした手間じゃないからダウンロードしようかな」
③形を一部変える
⇒デザイナー「これぐらいなら、やろうかな、でももう少し探そうかな」
④けっこう形を変える
⇒デザイナー「1から作るよりマシだけど、けっこう手間がかかるし、もう少し他を探してみよう」
こんな気持ちになります。なので一つ素材をつくったら、どうなってたら便利かなど想像して横展開をしていくと売れやすくなります。
残念だったこと
開けた瞬間気持ちが下がる
レイヤーが隠れてた
無料ダウンロードの素材を扱うときにまずデータを開いたら、
あれ、お目当てのイラストがない
よくみるとレイヤーがアクティブになってないってことがありました。
すぐに気づかず、1日1ダウンロードのサイトだったのでパニック!
よくよく見ればわかりますが、慌ててるとデザイナーがパニクるので、イラスト作られる方は保存のとき気をつけた方がいいと思います。
表示の大きさが小さかった
無料ダウンロードの素材を扱うときにまずデータを開いたら、
きれいに全体表示になってない、大きかったり小さかったり別にすぐに戻せるけど、これも一瞬わからなかったりするので、細かいことですがきれいに表示されてるほうが好印象だったりすます。何度もダウンロードする場合、クリエイター名を覚えて、その人で検索ということもあるので、やっぱり印象は良いほうがよいと思います。
こんなイラストがありました。
お花型のレースの敷物のような素材をダウンロードしてアップで見たら
反転したと思われる継ぎ目が明らかにズレてました。
複雑でこちらで治せるような状態ではなかったので泣く泣く他の手持ちの素材を探しました。
コレはダウンロードを避ける(描いても売れない)
実際はダウンロードしてからわかったこともあります。
使いづらい(経験上こんなのがありました)
道路標識素材に目立ちすぎる強い影がついている。
→影を取って使いましたが、セットもので数が多く手間がかかりました。
人物の主線が悪目立ちしてる。
→主線の色を淡くしました。(人物をセットで欲しかったので他になかったので選びましたが数が多くて手間がかかりました)
人物の鼻の形が気になる。
→鼻の形と色を変えました。(人物をセットで欲しかったので他になかったので選びましたが数が多くて手間がかかりました)
データのパスが多すぎてなかなか動かない。
→結局使いませんでした。
女性の露出部分が大きい
脱毛とか特別な目的が無い限り敢えて選ばないです。特にお役所など堅いところの仕事では避けると思います。修正、トラブルはできるだけ避けたいので。
人物のイラストの指が省略されている
イラストが気に入ったのでダウンロードしたことがありますが、あとから指を描き足しました。
その時は他に良いのが無かったので仕方なく選んだのですが、基本的には芸術作品のような絵で無い限り指は省略しない方が良いでしょう。
そういったことを気にするクライアントもその先の方もいらっしゃるわけで、後々問題になるといけないので。
イラストのバリエーションは年々増えてるので「めんどうなのでこれは避けよう」とならないようにも指は描いておいた方が良いです。
感覚的に好ましくないと選ばない
美しいと思わない
可愛いと思わない
かっこいいと思わない
暗い(明るいのが必要な場合がほとんどなので)
この辺でどれを選ぶかは人の感覚によって違いますが、昔上司に言われた言葉ですが「自分が欲しくなるようなものを作る」というのがありまして、イラストを沢山描いてるとゴールを急ぐあまりクオリティーが下がることがあります。
しかし、それで選ばれなければ本末転倒、自分でダウンロードしないようなものは、できるだけ描かないようにしようと思っています。
まとめ
私自身の経験からあれこれ書かせていただきました。これはほぼ毎日のようにダウンロードする無料素材でのことです。ダウンロードの条件といえば、使いやすいこと、万人が良いと思いそうな素材であること、それなりのクオリティなどでしょうか。
しかしながら理屈はいろいろあれどパッと見ていいな〜と感じたものを選んでしまうところもあるので難しいのですが、パッと見てときめく上にデータもしっかりした素材ならクリエイター名も覚えるし次から指名検索ということもありえます。
売れてくればモチベーションも上がりさらに良いものが描けるなど良いループが生まれます。無料サイトから有料サイトに移って単価を上げることもできます。
ストックイラストは売れるまでは継続がしんどいですが、選ばれるものが描けるよう少しでもこの記事がお役に立てば幸いです。